あこがれの映画生活。

ロシュフォールの恋人たち

 ビル・エヴァンスの「You Must Believe in Spring」が好きです。このアルバムの2番目に、夏の終わりや騒いだあとの、少し淋しくて切ない気持ちにすごく合う、とても馴染みのある曲があります。これはミシェル・ルグランの名曲であり、ジャック・ドゥミが監督した、あの映画の挿入歌でした。

 『ロシュフォールの恋人たち』(原題:Les Demoiselles de Rochefort、英題:The Young Girls of Rochefort)は、1967年に公開されたジャック・ドゥミ監督のフランスミュージカル映画です。

 カトリーヌ・ドヌーヴとドヌーヴの実の姉であるフランソワーズ・ドルレアックを始め、ジーン・ケリージョージ・チャキリスジャック・ペランダニエル・ダリューミシェル・ピコリといった仏米の豪華な出演者が登場しています。これだけでも最高!

 音楽は、『シェルブールの雨傘』でもコンビを組んだミシェル・ルグラン

 1993年に『ロシュフォールの恋人たち』の公開から、映画中の双子姉妹の設定年齢25歳と同じ25周年を記念し、ジャック・ドゥミの妻アニエス・ヴァルダ監督による『25年目のロシュフォールの恋人』(原題:Les demoiselles ont eu 25 ans)が公開されました(DVDに収録されています。当時エキストラで出た人たちの思い出や町の風景にほっこりしました。通りの名前に映画にちなんだ名前がついてるとか)。

 また、2009年には『シェルブールの雨傘』製作45周年を記念し、日本で世界初となる“デジタルリマスター版”が特別上映されました。

生きることが楽しくなる映画!

 1964年公開のカトリーヌ・ドヌーヴ主演でカンヌ国際映画祭パルム・ドールを受賞したミュージカル『シェルブールの雨傘』。ミシェル・ルグランと共に手掛けた音楽はそれまでのミュージカル映画に新たな波を引き起こしました。それから2年後に制作されたのが、奇跡のようなミュージカル「ロシュフォールの恋人たち」です。

 この映画はロシュフォール (シャラント=マリティーム県)=シュル=メールという大西洋沿岸の港町で、1966年6月3日にクランクインしました。ジャック・ドゥミ監督は港町に思い入れがあるようです。町の中央にあるコルベール広場全体がオープンセットになったそうで、建物の壁や登場人物の衣装は白を基調としていて、幸せなおとぎ話を観ているようでした(美術のベルナール・エヴァンとジャック・ドゥミ監督は親友だそうです)。生きる歓びが湧いてくる鮮やかさですね。

 また、ミシェル・ルグランのときめきで胸がいっぱいになるような旋律が、キャラバンの到着から出発まで、とても強く、またナイーブで、今もずっと胸に残ります。彼はフランスを代表する音楽家であり、映画音楽だけでもたくさんの名曲を世に送り出しています(ジャズ・ピアニストとしても活躍)。

キャストも大好き!

 デルフィーヌ役のカトリーヌ・ドヌーヴはもちろんですが、私はソランジュ役のフランソワーズ・ドルレアックが大好きです。当初はこの姉妹役、ブリジット・バルドーとオードリー・ヘプバーンで企画していたとか。この本当の姉妹が演じてくれて良かった!お姉さんのフランソワーズ・ドルレアックですが、公開の翌年に25歳の若さで亡くなります。交通事故だそうです。長らく語られなかった姉との思い出を、1998年出版した本の中で語っているようです。

Elle s’Appelait Francoise

 (私も買いましたがフランス語が読めず眺めるだけ…)

 ハリウッドでのミュージカル映画に対抗し、ウエスト・サイド物語(1961年)からはジョージ・チャキリス、巴里のアメリカ人(1951年)からはジーン・ケリーを招いて、オマージュを達成したところもすごいですね。奇跡の競演でした。

 また、往年の名優ミシェル・ピコリのダム役も安定の良さでしたが、何よりも印象的だったのは、全身に白を纏った金髪のジャック・ぺラン、マクサンスです。初めて観たとき(私も同じくらい若かったから?)、彼とデルフィーヌのすれ違いに感情移入してしまいました。

 幸せを求めることだけを考えていたい、そんな映画です。

何度も何度もすれ違う恋人たちが、出会って結ばれる結末へと導かれていく

STORY(あらすじ)

軍港の町ロシュフォールにお祭りの季節がやってきた。旅芸人のエチエンヌとビルのコンビは早速ショーの準備を始める。

美しい双子の姉妹ソランジュとデルフィーヌも、新しい恋の予感に歌いだす。

理想の女性との出会いを夢見る水兵マクサンス、秘められた恋を持つ姉妹の母イヴォンヌ、その相手である楽譜店のシモン・ダム、アメリカから彼を訪ねて来た折、偶然ソランジュと恋に落ちる作曲家アンディ。

お祭りに沸くロシュフォールを舞台に、それぞれの思いを胸に、それぞれの恋が動き出そうとしていた。

CAST(出演者)

(ママ役のイヴォンヌだけが歌もご本人のようですね。)

Blu-rayもCDも何度も堪能しました!最近はサブスクでも観ることが出来るようです。

私のオールタイムベストの1本です!